日別アーカイブ: 2021年1月26日

佐藤康行の自伝3

ブログは朝(7時37分)にUPします。次回は1月28日(木)です。

 

もう一つ。これはもう決定的でした。ある中華料理屋さんの奥さんのとこに宝石を売ってたら、今にも買いそうだ、と。

 

もう一息、もう一息ってやってたら「あら、きれいな指輪ね」ってやってた。

 

もう一押しで買いそうな雰囲気だった。わかるんだよね、買いそうな時って。

 

そしたらドアチャイムが鳴った。ピンポーンって。「どなた?」って出て行ったら、「トヨタの吉田です」って

トヨタ自動車のセールスマンだった。

 

「あなたも奥さんに買ってあげない?」って私の隣にポンと座った。

 

で、私はこちらが先客だから構わずセールスしたら、そのトヨタのセールスマン、私より大分年上の人で

「ちょっとあんた名刺見せてくれないか」って言うの。

 

「はい」って出したら「タイガー宝飾?聞いたことねーなー」っていきなり言葉使いが変わるの。

 

「奥さん、こういう貴金属宝石みたいなのは、ちゃんとしたところのデパートとか、信用のある所から買った方が良いですよ」って言うわけ。

 

「この石ころか何変わらないもの、どこの馬の骨かわからない人間から買って、なんかあった時どうするんですか?」ってまで言うんです。

 

馬の骨とか石ころとかって言う。そして奥さんの顔をパッと見たら、スーッと買い手が醒めていくのが見えました。

 

もう二度と買ってくれない顔になりました。「そう言われればそうね。また今度にするわ」って。

 

「このやろう、邪魔しやがって」ってよっぽど玄関で待っててぶっ飛ばしてやろうと思った。

 

でも私の中でチャンネルがパッと変わった。こんなやつとケンカして何の意味も無いぞ、と。私も若かったから。

 

私は人間的に成長するためにやってるのに、こんなやつとケンカしたら違う方向になっちゃうから。よし、こいつに責任をとってもらおう。

 

責任をとって貰おうって言うことは、こいつに買って貰おうと。それも今日中に、期限まで決まったんです。

 

今日中に必ず殺されてもこの人に買って貰おう。もちろん脅かしたんじゃ無理ですよね。欲しくさせて信用させて買って貰おうと思ったんです。

 

そしたら当然気に入られなきゃ買ってもらえないでしょ。無理矢理作り笑顔でパッと「先輩、色々教えてください」って。

 

で、車を降りようとしたらパッとドアを開けて、タバコを出したらサッと火を付けてあげる。

 

「先輩、私はまだ全然未熟なんです。色々教えてください」って。

 

「お前な、セールスはこうやってやるんだ。こうやってやるんだ」って、トヨタのセールスマンが。

 

ズーッと着いて行って、家まで着いて行きました。

 

続く