佐藤康行の自伝3
ブログは朝(7時37分)にUPします。次回は1月28日(木)です。
もう一つ。これはもう決定的でした。ある中華料理屋さんの奥さんのとこに宝石を売ってたら、今にも買いそうだ、と。
もう一息、もう一息ってやってたら「あら、きれいな指輪ね」ってやってた。
もう一押しで買いそうな雰囲気だった。わかるんだよね、買いそうな時って。
そしたらドアチャイムが鳴った。ピンポーンって。「どなた?」って出て行ったら、「トヨタの吉田です」って
トヨタ自動車のセールスマンだった。
「あなたも奥さんに買ってあげない?」って私の隣にポンと座った。
で、私はこちらが先客だから構わずセールスしたら、そのトヨタのセールスマン、私より大分年上の人で
「ちょっとあんた名刺見せてくれないか」って言うの。
「はい」って出したら「タイガー宝飾?聞いたことねーなー」っていきなり言葉使いが変わるの。
「奥さん、こういう貴金属宝石みたいなのは、ちゃんとしたところのデパートとか、信用のある所から買った方が良いですよ」って言うわけ。
「この石ころか何変わらないもの、どこの馬の骨かわからない人間から買って、なんかあった時どうするんですか?」ってまで言うんです。
馬の骨とか石ころとかって言う。そして奥さんの顔をパッと見たら、スーッと買い手が醒めていくのが見えました。
もう二度と買ってくれない顔になりました。「そう言われればそうね。また今度にするわ」って。
「このやろう、邪魔しやがって」ってよっぽど玄関で待っててぶっ飛ばしてやろうと思った。
でも私の中でチャンネルがパッと変わった。こんなやつとケンカして何の意味も無いぞ、と。私も若かったから。
私は人間的に成長するためにやってるのに、こんなやつとケンカしたら違う方向になっちゃうから。よし、こいつに責任をとってもらおう。
責任をとって貰おうって言うことは、こいつに買って貰おうと。それも今日中に、期限まで決まったんです。
今日中に必ず殺されてもこの人に買って貰おう。もちろん脅かしたんじゃ無理ですよね。欲しくさせて信用させて買って貰おうと思ったんです。
そしたら当然気に入られなきゃ買ってもらえないでしょ。無理矢理作り笑顔でパッと「先輩、色々教えてください」って。
で、車を降りようとしたらパッとドアを開けて、タバコを出したらサッと火を付けてあげる。
「先輩、私はまだ全然未熟なんです。色々教えてください」って。
「お前な、セールスはこうやってやるんだ。こうやってやるんだ」って、トヨタのセールスマンが。
ズーッと着いて行って、家まで着いて行きました。
続く